はにわ旅日記

日本中を自分の足で旅したい!

関東ふれあいの道・群馬25 核心部へ踏み込む

こんにちわ、うちだまです。

関東ふれあいの道・群馬編は13回目のアタックを進めています。
前回大雨が降り出す中、上板橋バス停まで到達して、補給のため休憩を取ることにしました。そこから再び歩を進め、群馬県赤城エリアでも屈指の難路へと向かいます。
結論から言うと、本当に酷い目に遭いました。

(注)コース25では特筆すべき場所がないためサムネイルを割愛します

  • コース:25・梨木へのみち
  • 日程:2024年9月23日(月・祝)
  • 距離/コースタイム:12.2km/4時間30分

アプローチ


上板橋バス停まで到達していますが、バス路線が廃止されて移動手段はありません。そのまま連続アタックします。
バス停の向かいに自販機があり、これがコース25で唯一の自販機です。終点の本宿駅を含めて補給手段はありません。

踏破前の確認事項

コース25は以前から荒れた難路として知られています。昨年までの記録をネットで見ると、倒木や背丈以上の藪に阻まれながら強引に進む様子が伺えました。筆者はこれを踏まえて2024年6月に県の担当者へ問い合わせを行い、回答を得ました。

今年の1月から3月にかけて倒木除去や下刈等整備を行い、通行が可能なことから踏破をお願いできればと思います。

回答の時期から夏場を跨いでしまったことの懸念はあったのですが、県のホームページでもコース全体を通行止めにする情報は出ておらず、筆者は踏破に出向きました。

起点〜からっ風街道


改めて起点・上板橋バス停です。まずはコース24で来た道を戻っていきます。前回から降り続く雨は弱まりつつも、まだ止む気配がありません。


建物の裏手に入っていきます。コース24で通っているので特に迷うことはありません。


奥に道標が見えます。あそこまで進んで右に曲がっていくと再び舗装路に出ます。


国道353号線まで戻ってきました。案内板のあるところから国道を渡って正面の道へ入っていきます。


緩い登りを道なりに進んでいきます。雨はほぼ気にならない程度まで上がりました。左手にグラウンドのフェンスがありますが、ここを右折です。


雨上がりの空気は湿度が高く、何となく嫌な雰囲気です。


からっ風街道から登りの傾斜が強くなります。前半は一途に登り続けるコースです。

からっ風街道〜撮影ポイント


右手に分岐する道が出てくるのでそこへ進みます。周囲の草木が深くなってきました。


舗装路がしばらく続きますが、その後次第に景色が変化します。写真がぶれてしまいましたが、局所的に背の高い草も出てきます。


ここが核心部への入口です。一見して左に行くものと思われますが、行き止まりです。GPS確認するとこの高く深い藪へ踏み込まなければならないとわかりました。整備実施からわずか半年でこれです。
雨上がりで草は濡れているのでレインウェアを着用しました。


踏み込んだ直後の一枚です。藪を漕いだ先は地面が露出していますが、もうすでに数匹のヤマビルが両足の周りに取りつき始めています。下は見ない覚悟を決めて進むことにしました。


ルート上では薮と地面の露出部分とが交互に現れます。ただ、道の両側は背の高い茂みに覆われていて、鬱蒼とした藪のトンネルを通っている感じです。
また、茂みの向こう側に「何か」がいる気配を感じます。姿は確認できませんが、落枝を踏み割る乾いた音が自分の歩みと並行して付いてきます。ほぼ真横にいるので狙われているとしたらまずいです。気のせいでなければ左右両側にいます。

この先は撮影する余裕がなく、言葉でお伝えするしかありません。

足を止めてはいけない気がして一定の速度で前進を続けました。獣臭と緊張感とこもった湿気とで視界がぼやけます。
そこへ筆者の前(5mほど?)にイノシシ(子)が飛び出してきました。間違えて出てきたのでしょう、慌てた様子ですぐに茂みへ戻りました。これで相手がわかりました。
筆者はイノシシとの遭遇経験があるものの単体との遭遇であり、相手の方から逃げたため大丈夫でしたが、今回は親子のため危険性が高いです。
その後、いったん気配が消えた気がしました。子が飛び出したことで離れることにしたのかもしれません。ちょっとだけ気を抜きました。

その直後、唐突に薮を突き破って2頭のイノシシ(親)が筆者の目前を音を立てて駆け抜けました。思わず声を上げて立ち尽くし、見守るしかないです。親の後を追って5〜7頭の子が駆けて行きます。最後の1頭が消えたのを確かめてから気を取り直して速やかに立ち去りましたが、あの突撃をまともに受けていたら駄目だったでしょう。


場所としては上記の区間です。イノシシとの遭遇地点を通過すると間伐されて視界が効くところに出ます。そうすると獣の気配は一掃されて緊張感や危機感から解放されました。といっても気味の悪い空間にいることに変わりなく、早々に突破したいです。


という経緯を経て到着した撮影ポイントです。実に不可思議な撮影ポイントですが、このコースには他に見どころがないのでここに設定したのでしょう。写真では普通のトレイルに見えますが、なぜかこの周辺だけは刈り払われていました。

撮影ポイント〜トレイル出口


撮影ポイントを過ぎると核心部の後半に入ります。前半とは違った意味で難路です。左折を指示する道標に従って進みます。


落枝でルートが覆われて通れません。この程度は序の口です。この他にも木々が立ち並ぶ場所で方向を見失いそうになるなど、GPSが必携のルートです。


と思うと今度は完全に人の手が入った木段が現れます。他にも真新しいトラロープが張られているところがあります。県の担当者が言っていた「整備実施済み」とはこの局所的な整備作業を指しているのかもしれません。


鉄階段を降りて、なおも木段を降り続けます。この辺りだけは順調です。


木段の終わりに来ると道標が見えてきます。ここが核心部後半の「ルート消失」部分です。過去の先人たちが「わからない」と言い続けている場所です。


かつては道標の示す方向にきちんとルートが存在したと思われます。しかし、現状では藪が茂っていて踏み跡も消えています。


道標まで戻り、反対方向を見やります。確かに明瞭な踏み跡が伸びていますが、とある先人がこちらへ向かったところ結局は道を失っており、地図的にも方角が違います。


地図的にもGPSを見ても対岸へ渡ることがルートなので、半信半疑ですが(A)の方向へ踏み込んでみました。


先人の記録の中で「堰の向こうへ行け」という言葉がありました。確かに堰があるものの、草の下は踏まれた様子はなく崩れそうです。しかし、正面を見上げたところに登山道が見えたので、慎重に這い上がってルートに復帰しました。
それにしても、長年この場所は放置されています。県の担当者は「通行可能」と筆者に告げていますが、この場所の認識がないと思われます。


ルート復帰後には崩落がありますが、大きな問題となるところは無くなります。


やっとトレイルらしい道になり、走ることができます。ただ、地面が非常に柔らかく、人が入っている道とは思えません。


トレイルの出口は再び深い藪ですが、突破したいという一念で抜け出しました。まさに「脱出」です。ちなみに梨木温泉近辺は長らく通行止めになっており、迂回しないといけません。道標と反対に左へ向かいましょう。

トレイル出口〜終点


困難な核心部を突破したとはいえ、コースの1/3が残っています。時刻を見ると次の電車まであと1時間、本当にギリギリです。
しかし、足元にいる大群のヤマビルがとんでもない状態になっていて、ここでしばし格闘せざるを得ませんでした。取っても取ってもシューズの中から湧き出る状況であり、腿の周囲まで付着していたので大変でした。


迂回路を下っていると右手に道標が見えてきます。ここで本来ルートと合流ですが、通行止めとなっているエリアを見ると暗黒に見えます。
なお、この付近で鹿の群れと遭遇し、目前への飛び出しや複数の奇声による威嚇を受けました。明らかに警告行動でした。


県の地図に書かれている高低表を見ると林道以降は下りのように見えますが、実際はアップダウンを繰り返します。


道標が示す先に二つ目のトレイル。残りは3km、若干急ぐ気持ちが出ています。トレイル自体は下り基調とわかっていたのでかっ飛ばすことにしました。このトレイルは走れますが、蜘蛛の巣地獄ですので帽子・眼鏡・マスクは必携です。


約1.5kmのトレイルを駆け抜けると出口が藪で塞がれています。赤のカラーコーンが置いてあるので、それを通過しつつ電柱を目指すと道標のところに下りて来られます。


あとは一般道を走るのみ。ただ、連続踏破で疲れが出ており、登りは走れません。


最後の登りを越えて集落に入ったら一気に下るだけ。時計を見ると何とかなりそうです。


体に蜘蛛の巣を絡み付けた状態で終点・黒保根町本宿に到着です。


いろいろあり過ぎたコース25。タッチポーズでゴール、本当にお疲れ様でした!
いやあ、無事に辿り着いた安堵感たるや、ものすごいです。


歩道橋を越えて本宿駅につきました。お店も何もない無人駅。ただ電車に間に合ったことだけがよかったです。

踏破後の対応

踏破完了後の帰路、筆者はヤマビルの駆除に追われました。被害は両足合わせて10ヶ所程度で、あの大群に取りつかれたと思えば少なく済んだと言えるでしょうね。
衣類はとある駅のトイレで着替えてから、すべて駅にて廃棄処分。これは駅係員の方のご理解・ご厚意により行ったことで深く感謝申し上げます。

帰宅後、コースの現状やイノシシ・鹿との遭遇とその危険度について県の担当者へ連絡を入れて対応を訴えました。いただいた返信では

  • 担当者ご自身が現地へ確認に行く
  • 通行止めや廃止を含めて協議する

という旨の内容でした。今後の推移はわかりませんが、これから踏破する方はしばらく様子を見た方が無難です。
確かに筆者が踏み込んだ時期がよくなかったかもしれませんが、維持管理の困難さや動物による危険度、魅力・面白みの観点からコース廃止が妥当と思っています。

まとめ

  • 上板橋バス停には移動手段がないので連続アタックにするしかありません。
  • 「核心部」については冬枯れや整備実施で状況が変化する可能性がありますが、イノシシが群れで生息する地域であることに変わりません。
  • 「コース消失」部分は長年その状況が放置されていて、今後の改善が見込まれるかは不明です。筆者の突破方法も推奨できません。
  • 梨木温泉付近の迂回路は県のホームページに掲載されています。
  • 二つ目のトレイルは若干荒れ気味でも走れますが、蜘蛛の巣対策は必須です。
  • コース全般で自販機や商店はありません。
  • 現状のコース25は踏破をお勧めしません。県の判断に期待します。
  • ヤマレコでも記事を掲載しています。よかったらどうぞ。

群馬県コース】
 これまでの踏破距離:26コース・260.3km
 残りコース数・距離:9コース・95.0km

関東ふれあいの道全体】
 神奈川県コース:150.9km(全踏破)
 東京都コース :  91.9km(全踏破)
 埼玉県コース :155.5km(全踏破)
 群馬県コース :260.3km
 累計踏破距離 :658.6km
 ※上記の集計ではコース設定上の距離を用いており、実測値とは異なります。

ご覧いただきありがとうございます。
とうとう残りコース数が一桁になり、100kmを切りました。
この勢いのまま次へ向かおうと思います。